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ゲーム配信が原因で逮捕される場合|摘発されたあとの流れ

2024年04月23日
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ゲーム配信が原因で逮捕される場合|摘発されたあとの流れ

ゲーム総合情報メディアの「ファミ通」が公開した統計によると、令和4年中の国内家庭用ゲームの市場規模は、店頭販売分だけでも3748億円でした。この数字にはダウンロードソフトやアイテム課金などのデジタル決済分が含まれていないので、実際の市場規模はさらに大きくなるでしょう。

ゲーム産業の巨大化にあわせて、ゲームに関連するコンテンツにも人気が集まっています。YouTubeなどの動画配信サイトでゲームのプレイ動画などを配信する「ゲーム配信」も人気コンテンツのひとつですが、令和5年5月には、ゲームのあらすじや結末がわかる、いわゆるネタバレ動画を配信していた男が逮捕される事件が起きました。

ゲーム配信が罪となって逮捕されるのはどのようなケースが対象なのか、気になる方も多いでしょう。本コラムでは「ゲーム配信」で逮捕される具体的なケースや適用される罪と罰則、警察に逮捕されたあとの流れなどについて、ベリーベスト法律事務所 岐阜オフィスの弁護士が解説します。

1、ゲーム配信で逮捕! どんな行為がどんな罪になるのか?

YouTubeやニコニコ動画などの動画配信サイトでは、配信者がゲームをプレイしながら場面に応じたリアクションやコメント(実況)をしていく「ゲーム実況」が人気で、数多くの動画が投稿されています。

以下では、すでにゲーム配信をしている方や、これからゲーム配信をしてみたいと考えている方に向けて、ゲーム配信に関連する行為が犯罪となる場合を解説します。

  1. (1)無許可のゲーム配信は「著作権侵害」にあたる可能性がある

    ゲームは、法律上の「著作物」に該当します。
    法律上の「著作物」に関する権利(著作権)を持っている者(著作権者)は、これを排他的に利用することが認められています。著作権者の許諾なしに著作物を利用すると、権利侵害行為として、民事上の損害賠償(民法709条。損害額について、著作権法114条に特則あり。)や差止め等の対象となります(著作権法112条)。
    ゲームの著作権者はゲームを製作・販売するメーカーです。また、ゲームのプレイ中に表示される動画、画像、音声等は、ゲームの一部として、それ自体が著作物となります。
    これらを前提とすると、メーカーの許諾を受けずに無許可でゲーム画面をキャプチャした動画・静止画を配信する行為は、「著作権侵害」にあたります

    もっとも、ゲームのメーカーは、このような行為に対して、無選別に責任追及してはいないのが実情です。
    大きな理由は、「自社のゲーム動画配信がそれ自体、ゲームの宣伝になる」と考えている会社もあるからです。

    たとえば、日本のゲーム業界最大手である任天堂は、自社のサイトで、自社のゲーム製品に関する動画配信について、次のように言及しています。

    任天堂は、個人であるお客様が、任天堂が著作権を有するゲームからキャプチャした映像およびスクリーンショット(以下「任天堂のゲーム著作物」といいます)を利用した動画や静止画等を、適切な動画や静止画の共有サイトに投稿(実況を含む)することおよび別途指定するシステムにより収益化することに対して、著作権侵害を主張いたしません。ただし、その投稿に際しては、このガイドラインに従っていただく必要があります。あらかじめご了承ください。

    出典:「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」(任天堂)


    同社のガイドラインは、次のように記載しています。

    (1)個人であるお客様は、任天堂のゲーム著作物を利用した動画や静止画等を、営利を目的としない場合に限り、投稿することができます。ただし、別途指定するシステムによるときは、投稿を収益化することができます。
    (2)お客様は、正式な発売日またはサービス開始日を迎えた任天堂のゲーム著作物を、投稿に利用することができます。正式な発売日またはサービス開始日を迎えていないものに関しては、任天堂が公式に公開した任天堂のゲーム著作物のみを投稿に利用することができます。
    (3)投稿に任天堂以外の第三者が有する知的財産権が利用されている場合、このガイドラインとは別に、その知的財産権の権利者から許諾を得る必要があります。
    任天堂は、Nintendo Switchのキャプチャボタン等の機能を利用する場合を除いて、お客様ご自身の創作性やコメントが含まれた動画や静止画が投稿されることを期待しております。お客様の創作性やコメントが含まれない投稿や任天堂のゲーム著作物のコピーに過ぎない投稿はご遠慮ください。

    (4)お客様が事実に反して、任天堂や任天堂の関係者から、協賛や提携を受けているようなことを示唆したり、誤信させたりしないでください。
    (5)任天堂は、違法または不適切な投稿や公序良俗に反する投稿、このガイドラインに従わない投稿に対して、法的措置を講じる権利を保持しています。


    要約すると、

    • 任天堂のゲーム著作物を利用した動画、静止画等は、非営利目的に限って投稿を認める(ただし、別途指定するシステムによる収益化は認める)
    • 正式な発売日またはサービス開始日を迎えたもののみを投稿対象とすることができる(ただし、任天堂が公式に公開したものは開始日よりも前に利用できる)
    • 投稿に任天堂以外の第三者の知的財産権が利用されている場合には、当該第三者の許諾が必要となる
    • 事実に反して、任天堂その他関係者から協賛、提携を受けていることを誤信させてはいけない
    • 任天堂は、違法または不適切な投稿、公序良俗に反する投稿およびガイドラインに反する投稿に対する法的措置を講じる権利を放棄しない

    他のゲームメーカーも、ガイドラインを設けています。ゲーム配信をする場合には、ガイドラインに従う必要がありますので、製作・販売したメーカーのサイトを閲覧して、ガイドラインの内容を必ず確認しましょう。メーカーによっては、ゲームのストーリーの公開(いわゆる「ネタバレ」)の禁止や、投稿対象を静止画のみ認める等の制限をしていることもあります。

  2. (2)著作権侵害の罰則は重い

    ガイドラインに従わない動画配信や投稿に対するメーカーの態度は厳しいものです。ガイドラインに違反し、特に悪質な動画配信・投稿と判断されると、刑事告訴などの措置を取られることも考えられます
    著作権法第119条1項は、著作権侵害行為に対して、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその併科(懲役刑と罰金の両方を同時に科すること)です。
    この法定刑は、刑法の窃盗罪や詐欺罪と同等の懲役に加えて、最高1000万円という高額な罰金を併科する、非常に厳しいものとなっています。

2、自分勝手な言い訳は通用しない! 違法動画をアップしたら罪になる

著作物であるゲーム(動画、静止画、音楽等の一部のみを取り出した場合を含む)をメーカーの許諾なしに利用して動画配信や投稿をする行為は違法です。
「すぐに動画を削除すればいい」「登録者や閲覧者が少ないから大丈夫だ」などと安易に判断すると、重い法的責任を問われる危険があります。

  1. (1)すぐに動画を削除すれば罪にならない?

    動画配信や投稿は、不特定多数の目に触れる状態に置かれた時点で、直ちに著作権侵害行為となります。あとから指摘を受けてすぐに削除をしても、侵害の事実が消えることはありません。

    メーカーは、著作権侵害行為にあたる動画や投稿を見つけても、投稿サイトの規約に従って削除等を求めるにとどまることも多く、必ずしも刑事告訴までするわけではありません。
    しかし、メーカーからの注意、警告を無視して動画配信や投稿を繰り返したりすると、刑事告訴など、厳しく対応される可能性が高くなります。

  2. (2)登録者・閲覧者が少ないから大丈夫?

    チャンネル登録者数や投稿の閲覧者が少なければ、動画や投稿が人目に触れる機会が少ないとはいえますが、著作権侵害の成立自体が否定されるわけではありません。この点は、民事上の損害額の大小に影響がある要素にとどまります。

  3. (3)ほかの配信者もやっているから逮捕されない?

    著作権侵害行為に対して、どの程度の対応をするかは、メーカーの個別の判断次第です。他の配信者が責任追及されていないからといって、自分だけが責任追及されない保証はありません。

    著作権侵害にあたるコンテンツを手本にすると、自身も同様に、著作権侵害行為をすることになってしまいます。まだ問題にされていないコンテンツだけを見て、そのとおりにやったとしても、著作権侵害にあたることを知らなかったという弁解は通りません。これは、民事上の責任でも、刑事上の責任でも同様です。

3、警察の捜査対象になるとどうなる? 刑事手続きの流れ

著作権侵害にあたる動画配信や投稿に対してメーカーが刑事告訴すると、警察の捜査対象となり、場合によっては、逮捕・勾留されることもあります。
以下、警察に逮捕されたあとの手続きを解説します。

  1. (1)逮捕・勾留による身柄拘束を受ける

    警察に逮捕されると、多くの場合は検察官に送致されます。逮捕から検察官送致までの時間は、48時間以内です。送致を受けた検察官は、24時間以内に、被疑者(逮捕された人)の弁解を録取したうえ、裁判所に勾留の許可を求めるか、釈放するかを判断します。裁判所が勾留を認めれば、原則として10日間(延長を含めると最大でさらに10日間)、身柄拘束が続きます。

    身柄拘束の間は、ほとんどの場合、警察署内の留置場に収容されます。その間は、自宅に帰ることも、会社や学校へ行くこともできません。逮捕から通算した身柄拘束期間は、最大で23日間にも及ぶことから、会社から解雇されたり、学校から処分を受けたりすることも珍しくありません。

  2. (2)起訴されると刑事裁判が開かれる

    逮捕・勾留のあとは、検察官が終局処分を決めます。終局処分には、正式な起訴、略式起訴、不起訴があります。満期まで勾留されたまま正式に起訴されると、そのまま勾留が続きます。初回の公判期日は、起訴から1~2か月後に開かれることが多いのですが、事案によります。事案によっては、公判期日が複数回にわたることもあります。この場合には、勾留が続行されることもあります。そうなれば、保釈が認められない限りは、外に出ることができません。
    略式起訴や不起訴の場合には、身柄が解放されます。
    略式起訴の場合は、罰金を払う必要があります。
    不起訴の場合には、刑罰を科せられないため、罰金を収める必要もありません。
    著作権侵害で逮捕・勾留されても、必ず起訴されるわけではありません。そのような事態に至った場合は、できるだけ速やかに、適正な対処をして、処分を軽くすることを目指すべきです。

4、ゲーム配信で事件になってしまったら弁護士に相談を

「投稿したゲーム配信動画が著作権侵害にあたる疑いがある」「ゲーム配信が原因で刑事事件になってしまった」という場合には、直ちに弁護士に相談してください

  1. (1)逮捕や刑罰を避けるためのサポートが期待できる

    著作権侵害に対しては、民事上も刑事上も厳しい法的責任が定められています。特に、刑事事件になり、身柄拘束を伴う場合には、最終的に刑罰を科せられなくても、重大な不利益が生じかねません。そのような場合に、弁護士のサポートを受けることは必須です。被害者であるメーカーとの示談交渉や、家族、勤務先等とのやりとりなど、弁護士でなければできないサポートは数多くあります。弁護士への相談・依頼は、早ければ早いほど有効です。結果もおのずから、よいものになります。重大な事態になりそうな気配を感じたら、できるだけ早く、弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)被害者との示談交渉を依頼できる

    著作権侵害にあたる動画配信・投稿は、著作権者の権利利益の侵害行為です。このような事案では、著作権者(被害者)であるメーカーとの間で示談を締結することがもっとも有効です。
    著作権侵害行為に関する真摯な謝罪と賠償を通じて、被害回復がなされれば、民事上も刑事上も、法的責任が大きく軽減されます。早期に示談が締結できれば、起訴される前に、検察官が不起訴を含む軽い処分に留めることを検討することも期待できますし、起訴されても、刑罰を軽減する効果が見込めます。
    示談交渉を当事者同士で行うことがまったくできないわけではないものの、弁護士でなければ接触自体を断られるケースもあります。交渉自体も、加害者の立場になった個人が、大企業と行うことは極めて困難です。示談交渉は弁護士に任せましょう。

5、まとめ

ITの進歩により、動画配信のハードルは、各段に低くなりました。注目を集めるために、気軽に配信や投稿を行う人も多くいますが、ルールを逸脱すれば、このコラムで紹介したような不利益やリスクが生じます。
著作権侵害を指摘された場合には、
ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
トラブルの穏便な解決を目指して全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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