警察から電話がきた! 「怖い」と感じたときの対応方法
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令和5年5月現在、岐阜県内には22の警察署が配置されており、岐阜県内で起きた事件の捜査、交通違反の取り締まりや交通事故の処理のほか、拾得物の保管・還付、許認可などの行政サービスをおこなっています。
警察の運営には管轄している地域に住む市民の協力が欠かせません。知らせたいことがあったり事情を尋ねたいことがあったりしたときや、ときには厳しく事実を追及するために、警察から電話がかかってくることがあります。
しかし、警察から電話がかかってくれば、驚いてしまう人も多いでしょう。仕事などの用事で電話が取れず、留守電もなく着信の記録だけ残っていたような場合には、「何の用事だろうか?」と不安に感じたり、恐怖を抱いて「怖い」と思ったりしても無理はありません。
本コラムでは、警察から電話がかかってくる理由や「怖い」と感じたときの対応について、ベリーベスト法律事務所 岐阜オフィスの弁護士が解説します。
1、警察から電話がくる理由と、取るべき対応
市民の立場からみれば、警察から電話がかかってくることなどめったにあるものではありません。
そのため、もし警察から電話がかかってきたら、「なにか一大事が起きているのではないか…」と不安になってしまうものでしょう。
以下では、警察から電話がかかってくることについて考えられる理由や、それぞれのケースにおいて取るべき対応を解説します。
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(1)落とし物を誰かが拾って届けてくれた
とくに何の心あたりもない場合は、どこかで財布・キャッシュカードやクレジットカード・携帯電話やスマホなどを落としてしまい、誰かが拾って警察に届けてくれた可能性があります。
落とし物から個人を特定できる場合は「◯◯警察署で保管しています」という電話がかかってくることがあります。
届けられた落とし物は拾得物として警察署の会計課で保管されているので、身分証を持参のうえで保管されている警察署を訪ねてください。
なお、拾得物の引き取りは平日・日中のみです。
仕事などの都合で難しい場合は、事前に電話で相談しましょう。
また、拾得物の保管期限は3か月で期限を過ぎると権利が喪失するため、早めに引き取ることをおすすめします。 -
(2)巡回連絡の際に訪問する前の事前連絡
警察では、地域警察官が個人宅を巡回して家族構成などを尋ねる「巡回連絡」をおこなっています。
回答は任意ですが、事件・事故・災害などに巻き込まれた際の安否確認や緊急連絡などに活用されるので、可能な範囲で回答しておくとよいでしょう。
巡回連絡は原則として日中に実施されますが、仕事などで不在が多い場合は訪問前の事前連絡として、過去の巡回記録から電話がかかってくることがあります。
都合のよい日時を伝えるか、あるいは電話聴取で済ませればとくに問題はありません。 -
(3)事件や事故について知っている情報を聴きたい
管内で発生した事件や事故について「なにか情報を知っているなら教えてほしい」という電話がかかってくることもあります。
あくまでも事件や事故の参考人という立場なので、厳しい詰問を受けるわけではありません。
また、参考人として協力するかどうかは本人の自由です。
ただし、むやみに拒否していると「なにか都合が悪いことを隠しているのかもしれない」と無用な疑いをもたれてしまう可能性がある点に注意してください。 -
(4)事件の容疑者として取り調べをしたい
なにか犯罪を犯したこと(嫌疑)をかけられている場合は、取り調べをするために出頭を求める電話がかかってくる可能性があります。
任意に出頭を求められている状況では、応じるかどうかは自由です。
しかし、要請に応じない場合は、
逮捕される危険性が高まります。
また、素直に出頭に応じても、嫌疑が晴れなければ、在宅事件として捜査が続くことになります。
どのように対応するかで今後の流れが大きく変わってくる重要な場面です。また、この段階で話したことが供述調書にされて、後の裁判で証拠に使われることもあります。一度話してしまうと、元には戻せません。出頭して聴取に応じる前に必ず、弁護士に相談することをお勧めします。
2、本当に警察からなの? 本物と偽物を判別する方法
警察を名乗る電話がかかってきても、心あたりがなければ「本当に警察なの?」と疑いたくもなるでしょう。
以下では、警察を名乗る電話が本物か偽物かを判別する方法を紹介します。
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(1)電話番号から判別する
警察署や交番に設置されている電話は「警察電話」という専用回線です。
警察電話から外線に電話をかけるとかならず警察署の代表電話番号が表示されます。
たとえば岐阜県内の警察署の代表電話番号はすべて末尾の4桁が「0110」なので、警察からの電話を判別する材料になります。
なお、多くの地域でも同様に「0110」の番号が使用されていますが、一部の地域では他の番号が使用されています。 -
(2)代表電話に折り返して取り次いでもらう
確実な方法は、所属の警察署、部署、担当者の名前を聞いて、いったん電話を切り、警察署の代表電話番号に折り返すことです。折り返しで架けた電話が警察署につながったら、電話をかけてきた担当者の名前を告げて、取り次いでもらいましょう。
もし偽物からの電話なら、担当者が実在しないか、担当者になりすましたかのどちらかです。
3、偽物に要注意! 詐欺などの可能性があるケース
相手が警察を名乗っていても、ただちに信用するのは危険です。
以下では、先などの悪質な目的によって警察をかたるケースについて解説します。
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(1)ニセ電話詐欺につながるケース
警察を名乗る電話をかけて「詐欺グループを捕まえたところ、あなた名義のキャッシュカードを持っていた」「あなたの口座からお金が不正に引き出されている」などとうそをつき、キャッシュカードやお金をだまし取る詐欺が横行しています。
このような手口を特殊詐欺といいます。警察は広報用として「ニセ電話詐欺」という名称を使用しており、令和3年中には岐阜県内だけで発生件数218件、被害総額は2億7972万円にのぼります。
末尾が「0110」ではない電話、050や070で始まるIP電話、携帯電話から警察を名乗る電話がかかってきた場合は、ニセ電話詐欺を警戒したほうがよいでしょう。念のため、所属の警察署、部署、担当者の名前を聞いたあとに電話を切り、警察暑に架け直すことをお勧めします。 -
(2)個人情報を聞き出そうとするケース
警察を名乗って「事件の犯人を逮捕したところあなたの家族だと言っている、家族構成を教えてほしい」などとうその電話をかけて、個人情報を聞き出そうとするケースもあります。
詐欺やストーカー被害などにつながる危険があるので、この場合にも、所属の警察署、部署、担当者の名前を聞いて、警察署に折り返しましょう。架かってきた電話に対して、そのままむやみに個人情報を教えないように気をつける必要があります。
警察が巡回連絡や事件・事故の参考情報を集めるために必要な個人情報を聴き取る場合には、折り返した電話に対して、担当者がきちんと対応してくれるはずです。
4、警察からの電話で「怖い」と感じたら弁護士に相談を
警察からの電話で「本当に警察なの?」と不安になったり、犯罪の容疑に心あたりがあってこれからどうなるのか怖くなったりしたときは、弁護士に相談してください。
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(1)犯罪の容疑に心あたりがあるとき
犯罪の容疑に心あたりがあるなら、警察からの電話は「取り調べをしたい」という出頭要請である可能性が高いでしょう。
正当な理由もないのに出頭を拒んでいると逮捕の危険が高まります。
ただし、不用心に出頭してしまうと、本来できたはずの防御を尽くす機会を失ってしまいます。この場合には、弁護士に相談し、警察官の質問にどのような回答をすればよいのか、取り調べに対する対応などのアドバイスを受けてください。 -
(2)警察の目的がわからないとき
とくに心あたりがなく、なぜ警察から電話がかかってきたのかもわからない場合は、一度電話を切って折り返す方法で、本当に警察から電話が架かってきたかを確かめましょう。
5、まとめ
警察は、事件や事故などの捜査だけでなく、「落とし物が届けられた」「巡回連絡に訪問したい」などさまざまな目的で電話をかけてきます。
警察以外の者が警察になりすまして電話を架けてくることもあるので、むやみに信用することは危険ですが、単に放置することもまた、不利益につながりかねません。まずは、警察からの電話かどうかを確認しましょう。
「犯罪の心あたりがあり警察からの出頭要請に強い不安を感じている」場合には、まずは弁護士に相談してください。
ベリーベスト法律事務所では、そのような方のご相談を、いつでも承っております。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています