離婚調停と離婚裁判の違いとは? 離婚の進め方と考えておくべきこと

2025年03月26日
  • 離婚
  • 離婚調停
  • 裁判
  • 違い
離婚調停と離婚裁判の違いとは? 離婚の進め方と考えておくべきこと

岐阜県の公表している岐阜県統計書によりますと、令和4年に岐阜県では2,565組の夫婦の離婚が成立しています。

離婚が成立するためには、原則として、夫婦間で、離婚について合意する必要があります。もっとも、夫婦間で話し合っていると、お互い感情的になり、冷静に話し合うことができないことが多いです。夫婦間での協議がまとまらない場合、調停や訴訟(裁判)を検討することになりますが、そもそも調停と訴訟はどう違うのでしょうか?

離婚調停と離婚訴訟の違いや、離婚の進め方についてベリーベスト法律事務所 岐阜オフィスの弁護士が解説します。


離婚・男女問題を弁護士に相談 離婚・男女問題を弁護士に相談

1、離婚調停と離婚訴訟の違いとは?

離婚調停と離婚訴訟にはどのような違いがあるのでしょうか?

4つの項目ごとにみていきましょう。

  1. (1)手続きの性質

    「離婚調停」は調停委員会(裁判官1名・調停委員2名(男女1名ずつ)で構成)の仲介のもと当事者の話し合いで解決を目指すのに対し、「離婚訴訟(離婚裁判)」は当事者の主張や提出された資料・証拠をもとに裁判官が最終的な結論を出す手続きです。

    「話し合い」で決まるのか、「裁判官の判断」で決まるのかという「手続きの性質」に違いがあります。

  2. (2)合意の必要性

    離婚調停が成立するためには合意が必要です。当事者が合意しない場合は調停不成立となります。

    一方、離婚訴訟では必ずしも当事者の合意が必要ではありません。あくまでも裁判官が結論を出す手続きのため、当事者の合意がなくても、裁判官によって離婚の可否や離婚条件に関する判決が出されます。

    したがって、調停と訴訟では「合意の必要性」という点でも違いがあるのです。

  3. (3)法的効力

    離婚調停も離婚訴訟も、「法的効力」があるという点では違いがありません。

    離婚調停が成立すると、調停調書として合意内容が記録され法的効力が生じます。

    離婚訴訟は判決が確定すれば判決書に記された内容に法的効力が生じますが、確定前に異議申し立てをすることも可能です。

    調停調書も判決書も「法的効力」があるという点では違いがなく、どちらも確定判決と同じ効力があります。確定判決と同じ効力があることで、たとえば相手が調停調書や判決書に書かれた養育費の支払いを怠った場合、強制執行の手続きをとって相手の財産を差し押さえることが可能になるのです。

  4. (4)時間とコスト

    離婚調停は離婚訴訟と比べると短期間で解決する傾向にあります。離婚調停は、当事者間での話し合いでの解決を前提としたものであり、お互いが譲歩する必要があります。そのため、お互いが譲り合う結果、早期に解決する可能性もあります。

    他方、離婚裁判は長期化する傾向があり、訴訟費用も高くなるため「時間とコスト」は離婚訴訟の方がかかる可能性が高いです。
    離婚訴訟は、離婚に関する法的主張、証拠に基づいて、裁判が判断する手続きになりますので、主張・立証が尽くす必要があり、時間がかかります。

2、離婚はどのように進める?

離婚調停や離婚訴訟をして離婚に至るまでの、離婚の進め方についてみていきます。

  1. (1)夫婦による話し合い

    まずは、夫婦による話し合い(離婚協議)を行い離婚の成立を目指すことが考えられます。なお、離婚協議の段階でも、弁護士を立てることはあります。どのように相手に伝えればよいか分からない場合、相手と直接話したくない場合などは、弁護士を立てることをおすすめします。

    離婚協議では、慰謝料や財産分与、親権や養育費、面会交流などの離婚条件を決めていきます。決まった内容は「離婚協議書」や公文書である「公正証書」にすることが重要です。特に、自分が養育費などを請求する側である場合には、養育費未払いといった後の金銭トラブルに備えて「公正証書」にしておくことをおすすめします。

    「公正証書」は、「強制執行認諾文言」という、「金銭債務(慰謝料や養育費)が履行されなかった場合直ちに強制執行を行うことに合意している」という記載を入れて作成しておくことで、裁判を起こさず強制執行を行うことができるという特徴があるのです。

    話し合いがまとまらず協議離婚が不成立になった場合、離婚を成立させるためには、離婚調停を申立てる必要があります。

    ここでいきなり離婚訴訟を起こすことはできません。離婚についてのトラブルは、裁判の前に調停をしておかなければならないという「調停前置主義」という原則があるからです。

    したがって、協議離婚不成立の場合は離婚調停を行いましょう。

  2. (2)離婚調停

    離婚調停を行うためには、家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行う必要があります。その後、裁判所より、期日(夫婦で話し合う日にち)が指定されます。期日では、夫婦が対面して直接話し合うのではなく、調停委員を介して、離婚に関する考えを伝えることになります。

    前述したように、調停で合意に至れば調停調書が作成され離婚が成立しますが、不成立の場合は「離婚訴訟」の提起が必要です。

    ちなみに、離婚調停において離婚には合意して離婚条件も概ね合意しているものの、些細なことで調停不成立になりそうな場合などに裁判官が職権で判断を下して離婚を成立させる「審判離婚」という離婚方法があります。

    しかし、厚生労働省の公表している「離婚に関する統計」によると、令和2年の裁判上の離婚の方法の中で審判離婚は1.2%と低く、この方法での離婚はあまり多くはありません。

    離婚調停で合意できそうにない場合は、離婚訴訟になる可能性が高いということです。

  3. (3)離婚訴訟(離婚裁判)

    離婚調停不成立になった後、離婚を目指していくためには離婚訴訟を提起する必要があります。当事者の主張や証拠などをもとに裁判官によって離婚の可否や離婚条件についての判決が下されます。

    以上が離婚の進め方の基本的な流れです。

3、離婚を決めたら、考えておくべきこと

離婚を決めたら、夫婦で離婚について話し合う前に考えておくべきこと、準備をするべきことについて解説していきます。

  1. (1)経済的自立の準備

    専業主婦(主夫)やパート勤務の場合、離婚後の生活を考えて安定した仕事や新しい住まいを確保しておくことが重要です。

    特に実家ではなく賃貸物件に引越す場合には、引越し費用のほか、敷金礼金、家具家電、仲介手数料に加え当面の生活費として、100万程度の費用を準備しておく必要があるでしょう。

    なお、条件を満たすことで「児童手当」や「児童扶養手当」、「ひとり親家庭等医療費助成」などの公的支援を利用することができます。自治体ごとに受けられる支援もありますので、離婚後の住居がある自治体に確認し、受けられる支援についても調べておきましょう。

  2. (2)証拠の準備

    相手の有責行為(不貞行為やDVなど)が原因で離婚したい場合、それを証明する証拠を準備しておくことが重要です。

    証拠があることで、離婚請求自体に応じてもらえる可能性が高くなるほか、自分に有利な離婚条件で合意できる可能性があります。

    また、前述したように最終的に裁判まで発展した場合、自分の主張を認めてもらうためにも証拠は重要です。

    たとえば配偶者が不貞行為をしていた場合、肉体関係があることがわかる写真や動画(ラブホテルや不貞相手の自宅に入る様子が写ったもの)、ホテルの領収書やポイントカード、不貞行為を認めるやりとりの記録などが有効な証拠になります。

    配偶者からDVやモラハラを受けていた場合は、怪我した箇所の写真や診断書、DV・モラハラをうけているときの録音や動画を集めておくとよいでしょう。

  3. (3)離婚条件の整理

    話し合いの前に、あらかじめ離婚条件の整理をしておくことも重要です。
    離婚で決めなければならない主な離婚条件についてみていきます。

    ① 財産分与
    「財産分与」とは、婚姻期間に夫婦で築いた共有財産(預貯金や家具家電、不動産など)を分けることです。
    夫婦半分ずつに分けるケースが多いですが、話し合い次第で変更することもできます。
    財産分与の対象になる財産を確認し、「車をもらう代わりに預貯金を多めに渡したい」といったように、財産の分け方について考えておきましょう

    ② 親権
    「親権」とは未成年の子どもの財産管理や、監護・教育を行う権利義務のことです。婚姻中は夫婦共同で親権を行使しますが、離婚をする場合、現行法では「単独親権」になるため、どちらか一方の親を親権者に定める必要があります。
    ただし、令和8年までには「共同親権」を選択することも可能になりますので、それを念頭に入れて親権をどうするか考えておく必要があるでしょう。

    ③ 養育費
    「養育費」は未成熟子(経済的・社会的に自立していない子ども)の監護や教育のために必要な費用です。子を監護している親は、他方の親から養育費を受取ることができます。
    親権者になりたい場合、家庭裁判所が公表している「養育費算定表」を参考に相手に請求する養育費の金額や支払い期間、支払い日や支払い方法を考えておきましょう。

    ④ 面会交流
    子を監護していない親と子が交流することを「面会交流」といいます。
    面会交流の頻度や方法(直接会うか電話や手紙のやりとりか)などについて考えておきましょう。

    ⑤ 慰謝料
    相手方に不貞行為やDVなどがあった場合、慰謝料を請求できる可能性があります。


    以上記載しました離婚条件については、ご自身で考えることも大事ですが、見通しや伝え方に関しては予め弁護士に相談した方がよいです。一度誤って離婚条件について提案をした場合、後から弁護士が介入したとしても、変えられない可能性があります。

4、離婚問題を弁護士に相談するメリット

離婚問題について弁護士に相談すると、離婚の進め方や離婚条件について法的なアドバイスを受けることが可能です。

また、相手との交渉を任せられることから、有利な条件で話しが進められる可能性が高まります。

話し合いがまとまらなかった場合にも弁護士に任せることで調停や裁判の手続きをスムーズに進めることができるでしょう。

なるべく早く離婚問題を解決するために、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

まずはお気軽に
お問い合わせください。
電話でのお問い合わせ
【通話無料】平日9:30~21:00/土日祝9:30~18:00
メールでのお問い合わせ
営業時間外はメールでお問い合わせください。

5、まとめ

離婚調停と離婚訴訟は、合意の必要性や時間とコスト面などさまざまな違いがあります。

離婚を検討している際にはまず双方の話し合いによる協議離婚を目指しますが、話し合いがまとまらない場合は調停や訴訟といった裁判上手続きが必要です。

弁護士に相談することで離婚についてのアドバイスを受けることや、精神的にも負担がかかる交渉・裁判手続きを任せることもできます

なかなか話し合いが進まなくてお困りの場合、弁護士が入ることで円滑に進む可能性がありますので、早めに弁護士に相談しましょう。

その際は、ぜひベリーベスト法律事務所 岐阜オフィスの弁護士にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています