既婚者とのパパ活で慰謝料請求された! 支払う必要はある?

2025年05月28日
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既婚者とのパパ活で慰謝料請求された! 支払う必要はある?

近年、インターネットを活用した「パパ活」が増加しており社会問題となっています。

パパ活の相手(いわゆる「パパ」)は既婚者であることが多いです。そのため、気軽な気持ちで肉体関係に応じると不貞行為とみなされ、パパ活相手の配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。

本コラムでは、既婚者とのパパ活における法的リスクや慰謝料請求への対処などについて、ベリーベスト法律事務所 岐阜オフィスの弁護士が解説します。


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1、既婚者とのパパ活は不倫になる?

既婚者とのパパ活が不貞行為(一般的に言う「不倫」)になるかどうかは、肉体関係の有無や婚姻関係への影響がポイントとなります。一般的に、食事や会話だけの関係であれば不貞行為とは認められにくいでしょう。

しかし、性行為があった場合には「不貞行為」と判断されます。不貞行為とは、結婚しているにもかかわらず夫または妻以外の人と自由な意思のもとに性的関係をもつこと、また、自身が結婚していなくても相手が既婚者であることを知りながら自由意思のもとに性的関係をもつことをいいます。

また、肉体関係がなくても、頻繁な連絡や金銭の受け渡しにより、不貞行為と疑われ、慰謝料を請求される可能性があります。さらに、パパ活により婚姻関係に支障が出た場合も、責任を問われることがあります。安全だと思ってはじめたパパ活であったとしても大きな問題となるリスクがあるため、既婚者との関係には注意が必要です。

2、既婚者とのパパ活で慰謝料を支払う必要がある?

既婚者とのパパ活が原因で、いわゆるパパ活女子に対して妻から慰謝料を請求される可能性があります。しかし、必ずしも支払い義務が生じるわけではありません。

慰謝料を支払う必要がないケースについて、以下で具体的に確認していきましょう。

  1. (1)肉体関係がなく、婚姻関係を破綻させるほど密な関係でもない場合

    既婚者とのパパ活が常識の範囲での食事や会話だけであり、肉体関係や夫婦関係を破綻させるほどの密な関係がない場合は、不貞行為とは認められません。

  2. (2)相手方が既婚者だと認識しておらず、既婚者だと認識しなかったことについて過失(不注意)がない場合

    民法では、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者」に対して損害賠償責任があると定めています。
    そのため、「故意」や「過失」がなければ、損害賠償責任を負いません。

    パパ活の場合は、相手が既婚者だと知っていた(故意)、もしくは少し注意すればわかったのに見落として(過失)肉体関係をもったりパパ活によって夫婦関係を破綻させた場合、“故意”や“過失”によって平穏な夫婦生活を侵害したとみなされます。そのため、直接妻がいることを話されていた場合は勿論のこと、相手が結婚指輪をしていたり、子どもの話をしていた場合等は、過失があるとみなされ、責任を問われる可能性があります。

  3. (3)不貞行為があった場合でも、婚姻関係が既に破綻していた

    既に婚姻関係が破綻していた場合は、不貞行為によって平穏な婚姻生活が侵害されたとは言えないため慰謝料請求が認められにくいです。婚姻関係が破綻している状況とは、たとえば離婚の意思があり長期間別居している場合などが該当します。
    もっとも、婚姻関係が破綻しているかは、外部からは容易に判断がつかないので、後になって思わぬ責任を問われることもあります。もし、不貞相手から「別居中だから大丈夫」などといわれたとしても、既婚者とは性的な関係を持たないことが重要です

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3、パパ活で慰謝料請求されたときは対応に要注意!

既婚者とのパパ活を理由に慰謝料を請求された場合、どのように対応するかは慎重に判断すべきです。支払いたくないからといって無視したり感情的に反応したりすると、状況が悪化して裁判に発展するおそれがあります。



この3つのポイントを押さえて、冷静に対処しましょう。

  1. (1)慰謝料請求を無視しない

    慰謝料請求の内容証明郵便などが自宅に届くと「怖い」「面倒くさい」という気持ちになる方もいるでしょう。しかし、請求を無視し続けると、相手が裁判を起こし、ますます事態が深刻化する可能性が高くなります

    裁判になれば、自宅に訴状が届きます。訴状も無視してしまうと、証拠がそろっていない場合でも敗訴判決が下され、“強制執行”をされるおそれがあります。

    強制執行とは、裁判の判決などで金銭の支払いが命じられたにもかかわらず支払われない場合に、強制的に回収する手続きです。強制執行が決定すると、預金や給料の一部、家などが差し押さえられる可能性があります。

    慰謝料請求をされた場合は請求内容をよく確認し、どのような主張がされているのかを把握することが大切です。対応が分からず不安な場合は、男女問題の実績がある弁護士に相談することをおすすめします

  2. (2)感情的にならず冷静に対応する

    慰謝料請求を受けた際は、感情的にならず冷静に対応することが重要です。突然慰謝料を請求されると、驚きや怒り、不安などさまざまな感情が湧いてくるかもしれません。

    しかし、感情的になって相手に暴言を吐いたり、過剰に反論したりすると、状況が悪化してしまう可能性があります。とくに感情的なやり取りを証拠として残されると、不貞行為を反省していないとみなされ、自分にとって不利にはたらく場合があるため注意が必要です。また、不貞行為をしていなかった場合も、余計な言質を取られてしまい、不貞行為を否定することが難しくなる可能性があります。

    まずは冷静に状況を整理し、相手方への回答をする前に、必要に応じて弁護士のアドバイスを受け、対応を考えましょう。

  3. (3)言われたままに誓約書又は合意書等にサインせず、金銭を支払わない

    相手から慰謝料を請求されたからといって、言われたままの金額を支払う必要はありません。請求額が法外に高い場合や、そもそも慰謝料を支払う義務がない場合も考えられます。

    一度「全額支払います」と伝えてしまったり、実際に支払ってしまったりすると、後から減額請求するのは困難です。また、相手より、誓約書や合意書を書くことが求められることがあります。相手と直接会って話をする際、誓約書等を出され、その場でサインをしてしまうと、後で取り消すことは困難です。

    そのため、すぐに「支払います」と答えたり、誓約書等にサインをするのは避けて、慰謝料を支払う必要性や金額の妥当性を弁護士に相談するなどして検討するようにしましょう。

4、パパ活で慰謝料請求された場合は弁護士に相談を

以上のとおり、既婚者とのパパ活を理由に慰謝料を請求された場合、どのように対応するかは慎重に判断すべきです。さらには、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。長期間無視をしたり感情的に反応したりすると、状況が悪化して裁判に発展するおそれがあります。弁護士を依頼することのメリットは、以下の3点になります。

  1. (1)相手との交渉を依頼できる

    弁護士は、相手との交渉を代理できます。慰謝料請求への対応を法的な観点から判断し、適正な主張を行えるため、払わなくてもいい慰謝料を支払うリスクを軽減できます。

    また、当事者として相手と直接やりとりをする必要がない点もメリットです。弁護士に交渉を任せればパパ活相手の配偶者との感情的な対立を避けられるため、精神的負担を大幅に軽減できるでしょう。

    相手との交渉に不安がある場合は、なるべく早い段階で弁護士への相談を検討してみてください。

  2. (2)相手の弁護士との対応も任せられる

    弁護士に相談することで、相手方が弁護士を立ててきた場合にも適切な対応ができます。

    法律知識がないまま、相手の弁護士と直接やりとりを行うと不利な立場になる可能性が高いでしょう。言われるがままに相手の条件を飲まされてしまう事態を防ぐためにも、弁護士に依頼して交渉にあたるのが得策です。

    早い段階で弁護士を立てていれば、対等な立場で交渉できるようになり、適切な条件による問題解決を期待できます。

  3. (3)示談や和解をスムーズに進められる

    弁護士に相談することで、慰謝料請求をされた際の示談や和解に向けた手続きもスムーズに進められます。

    慰謝料請求をめぐるトラブルでは、裁判に発展する前に示談で解決するのが一般的です。示談とは、トラブルの当事者同士で話し合い、双方合意して解決することを指します。

    ただし、適切な示談条件を決定するには、法的な知識が必要です。弁護士に依頼していれば、たとえ不貞行為があったとしても慰謝料を減額できる可能性があります。

    慰謝料請求は放置すると問題が大きくなる可能性があるため、早めに弁護士への相談を検討しましょう。

5、まとめ

パパ活相手が既婚者であり、その妻から慰謝料を請求された場合は慰謝料請求を受けた際は無視をせず、冷静に対応することが大切です。早めに弁護士に相談しておくと、状況に応じた適切な解決策を見つけやすくなるでしょう。

慰謝料を支払う必要があるのか、またどのように対応すべきか悩んだら、ベリーベスト法律事務所 岐阜オフィスの弁護士にご相談ください。トラブル解決に向けて、当事務所の弁護士がサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています