岐阜で交通事故被害に遭ったら? 慰謝料相場と増額のテクニック

2025年05月12日
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岐阜で交通事故被害に遭ったら? 慰謝料相場と増額のテクニック

岐阜県警察が発表している「令和5年中の交通事故発生状況」によると、県内の人身事故件数は3077件でした。岐阜県内で発生した交通事故でケガをしてしまい、慰謝料請求について不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

交通事故の被害に遭った場合は、加害者に対して慰謝料を含む損害賠償を請求できます。事故後の生活のためにも、相場を知って適切な金額を請求するべきでしょう。

本コラムでは交通事故による慰謝料相場や増額するポイントなどについて、ベリーベスト法律事務所 岐阜オフィスの弁護士が解説します。


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1、岐阜県下で起きやすい交通事故の傾向

岐阜県下で多い交通事故とは、どのような事故なのでしょうか? 岐阜県警察による令和5年の統計データをもとに、県内で起きやすい交通事故の傾向について解説していきます。

  1. (1)高齢者がかかわる交通事故が多い

    岐阜県では、65歳以上の高齢者が関与する交通事故の割合が高い水準にあります。令和5年の統計によると、県内の交通事故死者のうち78.0%を高齢者が占めていました。

    また、交通事故における運転者の年齢層に関しても高齢者の割合がもっとも多く、全体の46.5%です。高齢者がかかわる交通事故が多い理由としては、少子高齢化による高齢者数の割合増加が考えられます。
    実際に、内閣府の令和6年版高齢社会白書によると、岐阜県の65歳以上の人口割合は31.2%で、全国の29.1%と比べてやや多い傾向です。

    また、視力や身体能力・認知機能などは加齢によって低下することも、高齢者の交通事故につながりやすいと推察できます。

    出典:「令和5年中の交通事故発生状況」「令和5年中の交通死亡事故(47件50人)発生状況」(岐阜県警察)
    出典:「令和6年版高齢社会白書」(内閣府)

  2. (2)事故類型は車両単独事故が最多

    令和5年における岐阜県内の交通事故では、死亡事故件数中もっとも多い事故類型は車両単独事故でした。

    車両単独事故とは、運転者が単独で起こした相手方のいない事故です。

    車両単独事故の主な要因として、ハンドル操作のミスやアクセルとブレーキの踏み間違い・不注意などが挙げられます。運転者個人の問題だけでなく、急なカーブや視界不良・凍結などの道路状況が単独事故につながるケースもあるでしょう。

    出典:「令和5年中の交通死亡事故(47件50人)発生状況」(岐阜県警察)

  3. (3)事故原因の7割が安全運転義務違反

    令和5年の岐阜県内における交通死亡事故の原因でもっとも多いのは、「安全運転義務違反」でした。安全運転義務違反とは、道路交通法で規定された安全運転の義務に対する違反です。

    車両の運転者は、ハンドルやブレーキなどを確実に操作し、他人に危害を及ぼさないよう状況に応じた速度と方法で運転しなければなりません。

    たとえば、危険な運転操作をしたり前方不注意・安全不確認があったりすると安全運転義務違反となります。安全運転義務違反が最多なのは、高齢者の交通事故が多いことや車両単独事故が多いことにも関連していると考えられるでしょう。

    出典:「令和5年中の交通死亡事故(47件50人)発生状況」(岐阜県警察)

2、交通事故被害者が請求できる慰謝料と相場

交通事故の被害者は、ケガの治療費などのほか、精神的苦痛に対する損害賠償として「慰謝料」を請求する権利があります。慰謝料の種類や支払い基準・相場について、以下で具体的に見ていきましょう。

  1. (1)交通事故の慰謝料として支払われるもの

    交通事故の慰謝料は、交通事故でケガをしたことによって受けた精神的苦痛に対する補償として支払われるお金です。交通事故で支払われる慰謝料は、以下の3つに分類されます。

    慰謝料の種類 概要
    入通院慰謝料 交通事故が原因で入院・通院せざるを得なくなった場合の精神的苦痛に対する補償
    後遺障害慰謝料 交通事故が原因のケガが完治せず後遺障害が残った場合の精神的苦痛に対する補償
    死亡慰謝料 交通事故が原因で死亡した場合の本人・遺族の精神的苦痛に対する補償

    たとえば、交通事故で骨折して入院・通院した場合、期間中の精神的苦痛は入通院慰謝料として計上され支払われます。

    また、治療後も痛みやしびれなどが残り後遺障害等級が認定された場合は、等級に応じた後遺障害慰謝料が支払われます。後遺障害とは、自動車損害賠償保障法における「後遺障害等級」のいずれかに該当する症状です。

    死亡慰謝料については、基本的に死亡した被害者の家庭内での役割や扶養家族の有無などによって金額が決まります。

  2. (2)慰謝料には3つの支払い基準がある

    慰謝料には、次の3つの支払い基準があります。

    慰謝料の支払い基準 概要
    自賠責基準
    • 最低限の補償を目的とした基準
    • 自賠責保険でカバーされる範囲に限定される
    任意保険基準
    • 保険会社独自の基準で算出
    • 自賠責基準よりもやや高い程度の金額になる傾向
    弁護士基準
    • 過去の裁判例(裁判基準)をもとにした基準
    • 3つの支払い基準の中でもっとも高額になる傾向

    それぞれ慰謝料の算定方法が異なり、支払われる金額に差が生じます。適切な慰謝料を請求するためには、3つの基準を理解しておくことが重要です。

    特に自賠責基準や任意保険基準による慰謝料額が低いと感じた場合は、弁護士基準で算定すると増額される可能性があります。

  3. (3)慰謝料金額の相場目安

    実際に支払われる慰謝料の額は、ケガの程度や支払い基準によって大きく異なります。ここでは次のケースを例にして、慰謝料の相場目安を解説します。

    • 頸部(けいぶ)の負傷(むち打ち損傷)
    • 6か月の通院(通院70日)
    • 後遺障害等級12級と認定


    上記の状況を前提とした自賠責基準と裁判基準による慰謝料相場は、以下のとおりです。

    支払い基準 入通院慰謝料の相場 後遺障害慰謝料の相場
    自賠責基準 60万2000円 94万円
    裁判基準 89万円 290万円

    基本的に入通院慰謝料は通院・入院期間が長いほど高額になり、後遺障害慰謝料は認定された後遺障害等級が高いほど高額になります。
    ただし、あくまでも目安となるため、実際の慰謝料はケガの状況や通院状況・加害者側の対応などによって前後する可能性があります。

    なお、任意保険基準は各保険会社によって算定方法が異なります。
    一般的には、自賠責基準の慰謝料額よりもやや高い程度となり、限りなく自賠責基準に近い金額が相場となるケースが多いでしょう。

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3、岐阜の方が慰謝料を増額するために必要なこと

交通事故で加害者側の保険会社から提示された慰謝料が低すぎると感じた場合は、適切な金額まで増額できないか、弁護士に相談することをおすすめします

また、交通事故被害者が慰謝料を増額するために必要なこともあります。

  1. (1)医師の指示に従い病院にきちんと通う

    適正な慰謝料を受け取るためには、医師の指示に従ってきちんと病院に通うことが重要です。特に交通事故で負傷した場合は、できるだけ早く病院にかかりましょう。

    事故後の受診が遅くなると、交通事故とケガの因果関係が疑われる要因となります。また、自己判断で通院の回数を減らすと、通院日数が少なくなり慰謝料額が減ってしまう可能性があるため注意が必要です。

    交通事故の入通院慰謝料は、入院・通院した期間や日数によって金額が変動します。医師から治療終了と言われるまでは、定期的に通院して治療に専念しましょう。

  2. (2)症状が残った場合は後遺障害の申請を行う

    医師から「これ以上治療を続けても回復が見込めない(症状固定)」と判断されたら、後遺障害等級認定の申請を行います。

    後遺障害等級が認定されるかどうかは慰謝料の増額に大きく影響するため、交通事故で後遺症が出たら忘れずに申請しましょう。

    後遺障害等級認定の申請方法には、加害者側の任意保険を経由する「事前認定」と被害者自身で申請する「被害者請求」があります。基本的には追加の資料や書類を提出できる被害者請求の方が、後遺障害等級が認定される可能性が高くなります。
    しかし、被害者請求は、自身だけで行うにはハードルの高い手続きですから、弁護士に依頼すると安心です

  3. (3)弁護士基準で慰謝料を算定する

    交通事故による慰謝料で最も高い基準は、弁護士基準です。この弁護士基準での慰謝料を請求には、弁護士への依頼が必要です。

    保険会社から提示される慰謝料は自賠責基準や任意保険基準が採用されるため、適正額よりも低くなるケースがあります。しかし、弁護士に依頼して弁護士基準での算定を行えば、慰謝料を含む損害賠償金の増額を目指せます。

    また、弁護士は慰謝料増額に向けた適切な通院頻度や後遺障害等級申請についてのアドバイスも可能です。慰謝料に納得できないときは、弁護士への相談を検討してみてください。

4、岐阜県内で交通事故対応の知見が豊富な弁護士の探し方

交通事故の慰謝料に関する交渉を適切に進めるためには、弁護士のアドバイスやサポートを受けることが有効です。岐阜県内で交通事故対応の知見が豊富な弁護士の探し方として、以下のような方法が挙げられます。

  1. (1)知人から紹介を受ける

    岐阜県内で信頼できる弁護士を探す方法の一つが、知人からの紹介です。

    家族や友人などから紹介を受けられれば、自分で弁護士を調べる必要がなくなります。弁護士の実績や人柄についても、事前に話を聞けるメリットがあります。

    ただし、紹介された弁護士が交通事故の問題に詳しくない可能性があります。また、必ずしもお客さまと相性がいい弁護士であるとは限らないため、依頼するかどうかは直接話してから判断するようにしましょう。

  2. (2)インターネットで検索する

    現在は多くの法律事務所がホームページを開設しているため、インターネットで岐阜県の弁護士を探す方法も有効です。「岐阜 交通事故 弁護士」などのキーワードで検索すると、岐阜県内の法律事務所や弁護士が表示されます。

    また、弁護士のポータルサイトや法律相談サイトなどを利用する手段もあります。

    インターネット上では、弁護士の得意分野や解決実績・料金体系・口コミなどの情報を確認することが可能です。なるべく多くの実績を持つ弁護士に依頼すべきでしょう。なお、状況が複雑であればあるほど、交通事故対応の知見が豊富な弁護士に依頼するほうが適切な慰謝料を受け取れる可能性が高まります。

    依頼したい弁護士が見つかったら、実際に相談してから依頼するかどうかを検討してください。

  3. (3)法テラスや日弁連の窓口を利用する

    個別の法律事務所ではなく、行政や日弁連の窓口に相談するという方法もあります。

    ① 法テラス
    経済的な事情で弁護士費用に不安がある場合は、法テラス(日本司法支援センター)の利用を検討しましょう。法テラスとは、国が設立した法的トラブルの相談機関です。法テラスでは弁護士費用の支払いが難しい方を対象に、無料法律相談や弁護士費用の立て替えサービスを案内しています。
    利用する際は収入や資産などの条件を満たす必要があるので、詳細は法テラスに問い合わせて確認しましょう。また、必ずしも交通事故の知見が多い弁護士を選んで依頼できるとは限りらないため、その点も注意が必要です。

    ② 日弁連交通事故相談センター
    弁護士で作る公益財団法人、「日本弁護士連合会」が運営する相談窓口です。岐阜県にも窓口があり、電話や対面で相談ができます。

5、まとめ

交通事故に遭った後、適切な慰謝料を受け取るためには事故後の行動が重要です。

まずは治療に専念し、必要に応じて早めに弁護士へ相談することで、加害者側との交渉で不利にならずに進められる可能性があります。また、信頼できる弁護士を見つけられると、負担の大きい交渉や手続きなどを一括して依頼できます。

交通事故の被害による慰謝料請求で悩んだら、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所へご相談ください。当事務所は全国各地に拠点があり、どこからでもご相談可能です。また、初回相談は60分無料、着手金も無料です。なお、ご自身で加入されている保険に「弁護士費用特約」がついていれば、自己負担なしでご依頼いただける場合がほとんどです。
もちろん、岐阜でもご相談いただけます。まずは一度ご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています